八月末から続いた怒涛の本番ラッシュも終わりました。
なんだか、手持ちを大放出して抜け殻。
こんなに本番が続いたのははじめて、しかも毎年必ず体調を崩す苦手な夏。
一抹の不安はありましたが、諸々のお稽古が始まった七月始めから約三ヶ月間、結果として大きく体調を崩すこともなく、無事に乗り切ることができました。
この一ヶ月で六回のステージがありました。
8/25 メサジェ「ヴェロニク」
ラ・フォンテーヌ「寓話」より
アポリネール「動物詩集」より
ラ・フォンテーヌ「寓話」より
(午前と午後、二回公演)
9/16 モーツァルト「フィガロの結婚」より、Porgi amorと手紙の二重唱
9/27 マスネ「マノン」より、三幕、五幕の抜粋
ヴェロニクでは、はじめて演技をしました。
長いこと歌ってきましたが、動きといえば手を胸に当てて歌う、くらいしかしたことがなく、お稽古の始まった当初は戸惑いと不安しかありませんでしたが、本番では楽しくてしょうがなくなっていて、さらにその後歌うときに、体が楽になったように感じました。それまで本番では体を固くしていたのかもしれません。
そして、体の可動域が広がったことで、結果的に声の表現の範囲が広がったように感じます。
また、ヴェロニクではセリフもたくさんありました。喋るポジションにはとても苦労しましたが、緩急をつけること、適度な間を取る事、次の音楽を呼び込むように話し終えることなどなど、たくさん学ぶことができ、これは次のババールの朗読と同公演での詩の朗読にとても役立ちました。
モーツァルトでは、歌の原点を見直すことができました。
軽くて速くて高いものばかり歌ってきた私にとって、伯爵夫人のような役柄の歌は憧れはものすごくあるものの、苦手意識も強く、本番で歌うことなど考えられなかったのですが、時間をかけて練習を重ねた結果、積み上げてきたものを本番で出すことができました。
そして、この時の二重唱では、ヴェロニクで動くことに抵抗がなくなっていたので、ちょっと動きもつけて楽しくスザンナとの世界に入ることができました。
そしてマノン。今更ですが楽譜をしっかり読み込むことの大切さを学びました。
マスネの楽譜はとにかく指示が細かいのですが、これはお芝居だからなのだと先生から教わりました。
さらっているときにふと疑問を感じ、ここはこうじゃないのかな?と楽譜を覗くとしっかりそのように書いてある。そんな箇所がいくつもあって、今まで音と言葉しか見ていなかったのだということを痛感しました。
また、お稽古の録音を聴き返しているとき、どうしても音が揺れてしまう箇所に気づき、それを揺れないようにするためにはやっぱりここ一、二年見直してきた声の出し方の原点にもどり、こういうことだったのか!とストンと腑に落ちたりもしました。
といった感じで、1つの経験が次につながり、また原点を思い出してそこを強化していく、といった感じで、いろんな点が線で繋がる経験をした三ヶ月間でした。
発声以外の歌に関わる要素での初体験が非常に多く、それらを経験することで、歌の表現の引き出しが増えたというか、可動域が広がったように思います。
また次に向かうのが楽しみになりました。